Blue Sky




はぁぁ・・・
もう何度目だか分からない。
何でこんなに気分が落ちているのかさえ。


とりあえず皆と一緒にいるのが嫌で、
散歩してくると断ると足早にジープから遠ざかってきた。
きっと八戒なんかは言い訳だってわかってるだろうなぁ。
もしかしたら、三蔵も分かってるかも・・・








そうだ
きっかけは三蔵だったんだっけ。



自分のテンションを低くした原因を思い起こす。


偶然通りがかった街で、知りあいに会った。
いわゆる、昔の女っていうか・・・
まあ、一晩では終わらなかった、くらいの関係だけど。
「このお坊さんは?」
その女が口を開いたときのひと言だった。




「別に何も関係ない。」




そう。
そのときはかるーく流せたんだけどね。
自分でもこんなに気にするとは思わなかった。
別に、恋人だとか、そんなこと望んでなんかいない。
でも、関係ないってさ・・・

俺たちには何も繋がりは存在しないってか


それなら下僕でもなんでも良かったのに。





いままで人との繋がりなんて全くといっていいほど気にしてこなかった。
せいぜい、その夜の相手に不自由しなければ・・・
程度のものだったはずなのに。
それが、たった一人の男から「関係ない」といわれて
それだけで気にして落ち込んでいる自分が
何だか滑稽で、嘲笑えた







適当な木の根元を見つけて腰をおろすと。
自分が低くなった分よけいに
空が高く感じた。




空の青さは自分の気持ちと反比例して
透明度を増していく気がする―――









三蔵みたいだ


澄んでいて、凛として、冷たくて
誰もが憧れるのに
手を伸ばしたって絶対に届かない


俺の手には、入らない


背伸びして、高いものに手を伸ばすより
高いところから落ちてきたものを拾う方が
俺にはお似合いだよな




俺の手で掴めるものなんて

本当は

何もないのかもしれない







「悟浄〜?」





遠くでサルの声が聞こえる




この空が三蔵なら
そこに輝く太陽は・・・


金色の瞳を持つ、穢れを知らない生きもの


あいつ、なんだろうなぁ・・・

自分で言って、切なくなる

憎まれ口をたたくけど、あいつはやっぱり
皆にとってはなくてはならない存在で。
それこそ、凍えた空気を温めるような



こんな気持ち、とっくになくした筈なのに


「・・・・・・じょう?おい、きいてんのかよ!」

耳元で怒鳴られてはたと気付くと、サルが立ってて。
「飯だから早く来いって。さっきからよんでんのに、何してたんだよ〜!」
いかにも怒ってるんだぞ!と言わんばかりの表情
この素直さがこいつの武器なんだろうなぁ・・・
「わりぃ、煙草吸ってたんだ」
そういって、立ち上がると
「悟浄がこねーから飯喰えないんだぞ!」
といって走り出す。


もうとっくに短くなって煙も出ない煙草に
あの小猿ちゃんが気付いていないのが
せめてもの救いだ、と思う。


三蔵の顔を見ていつもどおりに振舞える自信はないが、
八戒の嫌味に耐えられる自信もない。
それに、悟空の腹減ったに付きあわされるのも。



「しかたねぇ。行くとしますか。」
そう言って思い腰を上げた。

声にして、自分に言い聞かせなければ
いつまでたっても動き出す気になれそうもなかった


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とりあえず半分です。何がいいたいんだか…
もとは、秋の空を見て思ったことなんですけどね。
嫌なことがあった日って何でだか空が高く見えるなぁって。
それが余計に白々しく感じたりして。

とりあえず、今度は三蔵さまSideです。
よろしければお付き合いくださいませ
蒼 透夜

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